研究内容
光触媒技術および光技術を用いた病原性微生物の不活化
光触媒による液体中とエアロゾル中のSARS-CoV-2の不活化とその機序の解明
論文発表: Matsuura et al., 2021, Viruses, “SARS-CoV-2 disinfection of air and surface contamination by TiO2 photocatalyst via damage to viral morphology, RNA and protein”
- 光触媒による液体中のSARS-CoV-2の不活化:光触媒に励起光を120分照射することによって、液体中のSARS-CoV-2の感染性は検出限界以下となった。
- 光触媒によるエアロゾル中のSARS-CoV-2の不活化:光触媒に励起光を20分間照射することによって、エアロゾル中のSARS-CoV-2は検出限界以下となった。
- 光触媒によるSARS-CoV-2の不活化機序:光触媒が発生する活性酸素がウイルス粒子表面のSタンパク質等の分解, ウイルスメンブランの破壊やウイルスRNAを損傷した可能性が一因
UVCによるRNAダメージを介したSARS-CoV-2の不活化の実証
論文発表: Lo et al., 2021, Scientific Report, “UVC disinfects SARS-CoV-2 by induction of viral genome damage without apparent effects on viral morphology and proteins”
- 30秒のUVCの照射により、ウイルスが検出下限値まで不活化された。
- 30cmの距離から500µW/cmの照度のUVCを
6.2秒照射 ウイルス力価は10分の1に減少
15 秒照射 ウイルス力価は260分の1に減少
30 秒照射 ウイルスが67,000分の1に減少することが推測された。 - UVCによるSARS-CoV-2の不活化機序: UVCによりウイルスの形態変化やウイルスタンパク質(N・Sタンパク質)量の変化は認められず、ウイルスRNAの損傷が主な原因である事が示された。
光触媒は、酸化還元反応を促進することから、有機物や細菌を分解することが可能で、環境問題を中心とした身の回りの様々な局面で利用できます。
具体的には、魚類・植物・野生動物のウイルス病を含めた種々の微生物に対する光触媒の効果検証や畜産現場の環境改善、魚類の養殖業における感染症対策や水質改善、植物工場の清浄化、ペットの飼育環境、食品加工現場の環境改善などへの光触媒の応用研究を行ってまいります。